2018年10月25日

では、果たして中華レンズはオールドレンズ的なのか?

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中華レンズがオールドレンズ的だとよく言われますが、本当にそうなのか・・あと、オールドレンズだとして、いったいいつ頃の年代のレンズぐらいという意味なのだろうか?と考えてみました。
自分が比較的多く持っているのは、60年代後半〜70年代のもので、M42マウントが多いです。あとはKマウント数本とタムロンアダプトール数本といった感じで、そもそもKマウントシステムのために揃えたものです。
それらと比べれば、流石に現代のレンズなんだから優れているだろうと推測する方もいるかもしれませんが、一言で言えば、優れていないものが多いといった印象(広角は除く)・・これはもちろん安価なものを指して言っています。なぜなら、現在の価格で競合する価格帯のレンズだからですが・・
では、オールドレンズが凄いのかと言われれば、そうではないと思っていて、これらは当時の価格でも、今の中華レンズ(安)よりも高価で、現在の価格に換算するならば、比較にならないぐらい高価なものです。
レンズというのは枯れた技術だと言われていますが、つまるところ、単焦点レンズとかは最近になるまで、それほど大きな変化は無かったのです。単焦点レンズの技術は、既に確立されているとも言われていたのです。
ところが最近、やたらと高性能な単焦点レンズが、各社から、特にシグマから出ているといった印象です。
「ついにレンズ技術が大幅に進化して高性能になった!」
とも思いませんでした。
というのも、それらはやたらと大きいのです。おそらくオールドレンズと同じようなサイズであれば、それほどの高性能化は見込めないということなのだと、すぐに思いました。


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さて、これらの安価な中華レンズですが、小さいです。この小ささが魅力だったのと、最初に手にしたNEEWER 35mm F1.2に異様なまでの味があった・・ということで、数本手に入れることになりました。
このNEEWER 35mm F1.2レンズのコーティング技術は、明らかにTAKUMARよりも劣っているように思われます。レンズそのものの設計はどうなのかよく分かりません。歪みは無いので、けっこう良いのかもしれません。ですが透過率は明らかに良くありません。
しかしながら、そこが良かったのです。
味を求めてオールドレンズという方も多いと思いますが、少なくともTAKUMARに、それほどの味があるとは思えないのです。最初に使った印象は”普通”という感じでした。まずはこの第一印象は重要で、かなり色々試さないと味というところまでは見出せません。当時からそれなりに豪華な硝材を使われたそれなりの高性能レンズだからです。何種類かは、今では禁じ手のトリウムまで使われていたりします。
結局のところ、安価で作るならば、硝材のこととか、コーティングの事とかに関してはケチらないと作ることはできません。あと工程も念入りにすることは出来ないでしょう。
そもそもこれら中華レンズ(安)の直接のライバルは同一価格帯のオールドレンズのように思われます。新品で買えるところに価値があるのですが、どう考えてもこの値段で作るには、スペック的に無理がありすぎる気がします。
考えてみると、凄いスペックなわけです。
たぶん、その無理な部分に味的要素が入ってくるのだと思います。
レンズというものは、明らかに癖を無くす方向に進化しているのですが、それには色々な手法が必要なのだと思います。これをカットしないと安価に作ることはできないでしょう。

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(SIGMA SD Quattro H/SMC TAKUMAR 50mm F1.4)
この写真は等倍鑑賞可能です。ノイズに関してはフォビオン・クワトロセンサー特有のものです。
SIGMA SD Quattro HはAPS-Hだから周辺描写が分からないしずるいと思われるかもしれませんが、このレンズはフルサイズでも、それなりに四隅まで解像します。
中華レンズ(安)の場合、一部を除いて、遠景では、こういった描写はまず不可能という感じです。中央はともかく、周辺がまったくダメなのです。マイクロフォーサーズ用もあるので、そちらなら全体的に解像するかもしれません。オールドレンズをAPS-Cで使うような感覚ですね。
APS-Cでも、中には使用可能なものもありますが、多くは遠景描写になると四隅は弱いという印象です。

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(SONY α7/FUJINON 55mm F1.8)

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(SONY α7U/MEIKE 50mm F1.7)
どちらも等倍鑑賞可能です。
当方が持っている中では、フルサイズ用で言えばMEIKE 50mm F1.7が、FUJINON 55mm F1.8に最も近いスペックなので色々と考えやすいのですが、このMEIKEの場合はやりようによってはFUJINONよりも優れています。
このレンズはフルサイズ用でありながら、12000円程度なので、APS-C用のレンズに対して、非常に高いパフォーマンスを持っていると思われます。・
珍しく、全体を均等に解像するレンズと言えるかもしれません。ただし像面湾曲は存在するため、遠景ではピントを周辺と中央の真ん中に合わせる必要があります。そういった面では、少しばかり荒があるわけです。中距離までは見事に全体を解像します。
それを理解した場合のみ、オールドレンズよりも高いパフォーマンスを発揮し、あと、それよりも遥かに優れた逆光耐性が安定した画質を生み出すかもしれません。
周辺減光や像面湾曲はあるものの、現代的なレンズも存在するようです。味という面では、その分期待できないかもしれません。
ちなみに、このFUJINONよりも周辺描写という面で優れていたのはMEIKE 50mm F1.7とNEEWER 35mm F1.2でした。他のページで確認できるため、興味のある方はそちらを参照にしてください。

2019/05/30追記
チャートによる撮り比べを追加しました。
クリックで等倍鑑賞可能です。
オールドレンズが如何に高性能なのか、ある程度分かります。
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(SONY α7U/MEIKE 50mm F1.7 [絞りf8])
こちらは、ローパスフィルターがあるカメラを使用していますが、解像はともかく、倍率色収差が目立つことが分ります。
像面湾曲の存在により、より顕著に見えます。
コントラストは現代的と言えるかもしれません。

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(PENTAX K-1/SMC Takumar 50mm F1.4 [絞りF8])
こちらは画素も多いうえに、ローパスレスなので、単純に比較対象にはならないかもしれませんが、少なくとも、この画面の均等性は、かなり優秀だと言えると思います。
もちろん、現在では禁じ手のトリウムを使っていることもあるかもしれませんが、収差もあまりありません。非常に繊細な描写をします。
レンズというのは、やはり枯れた技術で、その時の時代換算の値段が、けっこう重要かもしれません。
硝材等、豪華なものが使えるからです。最新のものなどは、補正レンズ群もふんだんに取り入れて超大型化、高額化していますが、明らかに高性能になりました。

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(PENTAX K-1/Super-Multi-Coated TAKUMAR 55mm F1.8 [絞りF11])
JPGで描き出す場合、解像していると、データ容量が大きくなるのですが、これより暗いTakumar 55mm F1.8は、F11でより高容量になりました。つまり解像していることが伺えますが、こちらもトリウムを使用したレンズということになります。全体としては、50mm f1.4 と 55mm F1.8  55mm F2は似たような解像を見せました。どれも黄変しているため、トリウムを使用しているものと思われます。

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(PENTAX K-1/Super TAKUMAR 55mm F2 [絞りF8.0])
こちらのF2は、輸出向けの安価なレンズのようですが、PENTAXの場合は安く作った場合、意外にも上位を食う性能のものが多いようです。
実用域はF2からで、開放から解像します。このころのオールドレンズは、F2.8ぐらいからが、実用域とも言えますが、少なくともF5.6ぐらいまでは解像では、上位をリードしている感じです。つまり実用域は多いという感じです。
出し惜しみのないメーカーなので、単純にレンズサイズをあまり変えずに暗くした分高性能になっているとも考えられます。

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(PENTAX K-1/Super-Multi-Coated MACRO TAKUMAR 50mm F4 [絞りF5.6])
当方所有の個体では、MACRO Takumar 50mm F4の場合は更に解像しました。
少し残念なのは、この個体は左側に片ボケがある感じです。
そのうち、分解清掃して、組み直してみる予定。
解像ピークと思われるのは、F5.6付近でした。
テッサータイプで、レンズ部分はとても小さなものですが、この暗さから、設計に無理が無いのか非常に解像します。
残念なことに、今のレンズほどコントラストが高くないので、写真では解像しているのかどうか分かりにくいという点はオールドレンズならではという感じです。

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(PENTAX K-1/HELIOS-44M-6 58mm F2 [絞りF8.0)
昔の日本メーカーのレンズは、けっこう凄かったようです。
ロシアのHELIOS-44M-6 58mm F2 に関しては、若干解像で劣る結果が出ましたが、その均一性は実は優秀です。
このレンズは更に古い設計で、カールツァイスのビオターがベースのコピーレンズですが、開放付近のぐるぐるボケ以外は優秀なようです。もちろん、このぐるぐるボケという個性が、このレンズの人気の原因にもなっているので、必ずしも収差の存在が悪いとも言えないというのもあります。単純な解像という意味では優れていると言えると思います。
ちなみに、このロシアのレンズは、ピント移動させると、けっこう画角が分かりやすく変動するレンズでもあるようです。

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(PENTAX K-1/TAMRON SP 90mm F2.5 MACRO [絞りF8.0])
中華レンズは、周辺を解像しなくて、像面湾曲があるレンズが多いという印象があります。
明るさが尋常ではないレンズが多い事を考えると、ボケを優先しているのではないか?と思うこともあります。
こちらは、マクロとしては明るく、ボケを重視したチューニングの日本のオールドレンズです。
中央の解像は素晴らしいものがありますが、周辺は解像していません。
開放付近では、軸上色収差もけっこうあり、どうやら、像面湾曲もあるようですが、これはポートレート等を重視したチューニングをしたためというのも考えられます。
きちんとした記録として、絵画などを撮るときには、このレンズは使いませんが、有名な銘玉でもあります。昔から非常に評価が高いレンズです。ただ、評価が高いからといって、何でも得意というわけではないようです。単純な記録ならば、TAKUMARのマクロのほうが得意です。
収差等を犠牲にして、目的を達成しているレンズもありますので、必ずしも均一性が高ければ良いというわけでもなく、用途に応じたものを使えば良いというのが正しい判断かもしれません。

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(PENTAX 645D/SMC PENTAX-A 645 120mm F4 MACRO [F11])
こちらは中判用のオールドマクロレンズですが、絵画などの記録には、こういう性質のもののほうが合っていると言えるかもしれません。周辺まで驚くほど見事に解像し、歪曲収差も像面湾曲も無くシャープです。
デジタル中判はセミ中判(フルサイズに対するAPS-Cのような存在)なので、イメージサークルも足りていて、余裕があります。
個人的に昔のPENTAXは真面目な仕事をしているという印象があります。

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(SONY NEX-6/NEEWER 35mm F1.2[F8.0])
チャートの撮影結果として、中華レンズ(安)の中で、最も好ましかったのは、このNEEWER 35mm F1.2でした。
個人的に歪みの無い画像を好みますので、最初に撮った時から印象は良かったのですが、欠点も沢山あります。
まず、コントラストの低さと、強い寒色系の色味でしょうか?あと玉ボケの輪郭が強く、ボケがうるさくなるということです。逆光耐性の低さは致命的でしょう。
ですが、その点もトータルで許せたというのもあります。たまたま絵が個性的だと思えたので、使い分け出来ると判断したからです。
チャートで分かるのは解像や収差、画面の均一性ぐらいなので、トータルの絵ということになると、実際に撮ってみなければ分かりません。最終的には好みの問題になりますし、結局のところ、そこがすべてとも言えるかもしれません。

結論としては、中華レンズは、オールドレンズとはまた別のものと言えるかもしれません。もちろん、昔の安価なレンズならば同じような描写特性のものもあるかもしれません。
Takumar光学系は、その後のAF化によって、若干解像そのものは落ちていますが、それ以外のコーティングの進化による逆光耐性やコントラスト等が改善されているため、画面そのものははっきり見えるようになっているようです。


(SONY NEX-6/NEEWER 35mm F1.2)
こちらは、試しに撮ってみた日記映像です。
中華レンズの味を極力発揮するように心がけてみました。

と、光学レンズのような枯れた技術のものを、安く作るということは、それなりのトレードオフがあるということだと思われます。高価なレンズであれば、中韓のレンズも今や優れているのです。人件費等で比較安価だとは思いますが・・しかし高性能なものは、やはりスペックを考えても大きいといった感じです。この大きさならば、このくらいは写るだろうと想像できたりもします。

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(SONY α7U/NEEWER 35mm F1.2)
遠景はともかく中距離までを撮るというならば、安価な中華レンズは、オールドレンズと互角の描写をするかもしれません。
あと、ボケ等の癖は下手なオールドレンズよりもあったりして、面白い描写が可能です。
これはスナップやネットにアップする写真では威力を発揮すると思います。明らかに他と違うからです。
人間、見慣れないものには違和感や驚きを感じたりする生き物なので、これらの中華レンズが定着するまでは、その描写が武器になったりするのではないかと思ったりします。




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posted by 薔薇迷写真部 at 20:54| Comment(0) | 中華レンズ